【Vol.14 】もし私がコーチから「講座を開いてみたら?」と提案されていたら…?

こんにちは。大人のADHD・HSP専門コーチの原 登志文(はら としふみ)です。
「成果は出ているのに、どこか不完全燃焼な感じがする」
「言われた通りにやって結果は出たけれど、次に向かうエネルギーが湧いてこない」
仕事や日常の中で、そんな違和感を覚えたことはありませんか?
実は私自身、過去のキャリアの中で「成果が出たのに虚しかった体験」と「問いかけによって自分の内側から情熱が湧き上がった体験」の両方を経験したことがあります。
第1章:成果が出ても「やりがい」を感じないのはなぜか?

成果は出たのに、心が躍らなかった「営業時代」
会社員時代、若手営業マンだった頃の話です。
当時の先輩から「手土産を持って、お客様の自宅を訪問してこい」とアドバイスを受けました。
素直に言われた通りに訪問を重ねた結果、なんと大口案件を獲得することができたのです。客観的に見れば「大成功」でした。
もちろん嬉しさはありましたが、不思議なことに、私の心の中に「やりがい」や「内側から湧き出る達成感」のようなものは残りませんでした。
ただ「指示通りにやったら、思ってもみなかった凄い結果が出た」という感覚であり、その後に「よし、もっと自分の工夫で営業をやってみよう!」という持続的なエネルギーには繋がらなかったのです。
第2章:自発的な「問い」が生み出す爆発的な情熱

自分の意志にスイッチが入った「社内講座」
一方で、全く異なる体験があります。
同じく会社員時代、研修担当として「コミュニケーションの講座」を新しく導入する企画を立てた時のことです。気合を入れて提出した企画書でしたが、上司からあっけなく却下されてしまいました。
当時は「なんで分かってくれないんだ」と恨み言ばかり言っていたのですが、その時に私のコーチから、こんな問いを投げかけられたのです。
「原さんは、その上司が却下してくれたからこそと言えるような、どんな結果を作りますか?」
その言葉を聞いた瞬間、私の中で「被害者」のスイッチから何かがガラリと切り替わりました。
「だったら、アフターファイブに自分で社員向けの講座を開いてやる!」
腹の底からメラメラと湧き上がる感覚がありました。
誰に頼まれたわけでもなく、自分で「やる」と決めて動き出したアフターファイブの講座は、その後複数回にわたって開催することに。さらには親会社も巻き込んだ大きな広がりを見せ、最終的には親会社の新規プロジェクトとして第1回の講座を開催するまでに至りました。
これも客観的に見れば大きな成果ですが、私自身にとっては「成果が大きくて嬉しい」という感覚よりも、「社内にコミュニケーション講座を導入したい」という自分自身の意図が、形を変えて叶ったことに対する深いやりがいと充実感でした。
もし、コーチから提案されていたら?
ここで、ふと考えさせられます。
もしあの時、コーチからの言葉が「それなら、自分でアフターファイブに講座を開いてみてはどうですか?」というアドバイス(提案)だったとしたら、私はあれほどの情熱ややりがいを感じられただろうかと?
きっと「あ、なるほど。じゃあやってみます」と答え、営業時代と同じように「言われたからやった結果」で、ただ「やってよかった」程度の感覚になっていたのではないかと思うのです。
人からのアドバイスや提案を受ける機会は、日常に溢れています。
しかし、そのアドバイス通りに動く前に、一度立ち止まって自分の内側を観ることがとても重要です。
「それは本当に、自分の内側から『やりたい』と意志が湧いてきているだろうか?」
「他人の提案を、自分の意志として選び直して『よし、やるぞ』と腹を括れているだろうか?」
同じ「アフターファイブの講座を開く」という行動であっても、「言われたからやる」のと「自分でやると決めて動く」のとでは、得られる手応えも、その後の持続的なエネルギーも全く別物になります。
第3章:自分の意志で動き、誰かの自走を支えるために

自分の中から湧き出る「小さな想い」の力
自分の中から、ふと湧き出てくる「やってみたい」という情熱。
そこから動き出したとき、最初に起きてくる結果は、もしかしたら他人の目から見れば小さなものかもしれません。
しかし、結果の大小によらず、そこから感じられる達成感ややりがいは、誰かのアドバイスに従った時とは大きく違うはずです。
そして、自分自身の意志でスタートした「自走するエネルギー」は途切れることなく循環し続け、やがて思いもよらない大きな結果へと繋がっていく可能性を秘めています。
誰かを支援する立場にいるあなたへ
これは、職場の部下や後輩、あるいは子どもなど「誰かをサポートする側」に立つ時にも大切な視点です。
相手にただ成果を出させるだけでなく、自分自身の足で力強く歩み続けてほしいと願うとき、安易に答え(アドバイス)を与えてしまうとどうなるか――ここまでの話をお読みいただいたあなたなら、きっとすでにお気づきですよね。
大切なのは、相手が自分自身の意志で「やる!」と気づき、自ら選択できるような「問い」を投げかけること。
スタートのきっかけが何であれ、最後は「自分で決めた」という感覚を持てた時、人はどれだけ行動しても疲れず、内側から溢れ出るようなエネルギーを発揮できるのだと感じています。
「自分が本当にやりたいこと」「内側から湧き出る情熱」は、一人で考えていても、これまでの常識や他人の期待に覆い隠されて見えづらいものです。
だからこそ、対話を通してご自身の本当の想いを解き明かす「コーチングセッション」を活用してみてはいかがでしょうか。会話の中から自分の『本当の意志』を見つけた時、あなたの行動は驚くほど軽やかで力強いものに変わっていきます。


